「中国の教育現場が抱える問題」

昨年秋口に実習生を目当てに四川まで足を運びました。四川といっても、重慶からバスで二時間半という、だいぶ端っこにある山間部です。

それ以来、そこの方との繋がりができ、学校の現場のお話など少しが入って来るようになりました。
今回のタイトルにさせて頂いた「中国の教育現場が抱える問題」もその一つです。

ある日突然電話が掛かってきました。
「佐藤。これからはVRだ、VRは知っているか?」
VR=仮想現実。最新のゲーム機の機能としてあったり、スマートフォンをゴーグルに挟んで見たりする、360度の視野で映像が楽しめる機器です。

四川の知人曰く、中国の教育現場がVRを取り入れを検討しているとの事でした。
その予算、年間数千万元。
中国は規模が違います。

どう言うことかというと、学校の現場で教員が大きく不足しており、その打開策としてVRを使うとの事。
特に専門職養成の学校では、最新の技術・技能やサービス知識、などを教えることの出来る教師が圧倒的に不足しているようです。

原因は教師の給与の低さ。
教員給与は3000元~4000元と聞いています。それに対し、現役の技能職は6000元以上、技能によっては10000元以上手にすることもあります。教師になるよりも、現役で仕事を続けた方が高収入だと言うことです。

特に中国は、ここ10年で大きく変化しました。その変化を支えた技術や知識を持っている人は、まだまだ現役です。反面、これまでの教師陣は、そういった技術や知識に乏しいと言う傾向にあります。学校としては生徒に最新の技術・知識を教えたいけれど、既存の先生は持っていない。そして、外から連れてくるには高額すぎるのです。

VRは実際に教育現場で活用するための実験が色々なところで始まっています。シンガポールでは、初期医療技術の取得用のソフト開発が進められています。北京の大学では、VRの使用により教育効率が上がると言う論文が発表されています。例えば、無錫にいる先生と四川にいる生徒をVRの同時中継でつなぐことにより、同じ空間を共有するということも出来るそうです。衛星放送クラスのVR版です。没入感が高くなるVRを使うことで、より高い教育効果を狙うというものです。

四川の知人が言うように、教師不足の代替案が「VR」なのかは、まだ疑問はあります。ただ、中国の学校では、教壇に立つ教師の代わりに授業用ビデオを流すクラスがあり、その代わりには直ぐになりそうな気がします。また、企業と学校感の交流を促す道具としても使えるかもしれません。