仕事

中国で仕事をしていると、どうしても日本にいる時の経験と比較してしまいがちになります。従業員の定着率が悪いと言うのも、やはりその一つでしょう。

日本での経験と違った時に、「中国は!」と言ってしまうと、色々な弊害が生まれてしまいます。偏見を持ってしまう事で、本来は自分が対処しなければいけない事に対して出来ない理由、やらない理由を作ってしまいます。また、その偏見が普段の行動や言動に現れる事で、周囲から仲間がいなくなってしまいます。

前回、書かせて頂いた「定着率が悪いのは?」も、実は日本だって定着率が悪い時代があり、今現在私たちが直面している定着率の悪さは、「中国」が理由じゃないと伝えたかったからです。

定着率の改善は日本もだいぶ苦労したのです。
実は無錫で働く私たちは、何十年も前の日本の経営者が苦労したことに、今同じように苦闘していると言う事です。辛いなぁ…

前回の記事で、大正時代の熟練工の低定着率のお話をしました。その時代から、日本の雇用が安定していくには、大きく五つのステップがあったようです。

• 1910年代の経済成長、人手不足と引き止め策
• 1929年世界大恐慌からの成功例
• 1930年代後半からの政府による生産管理
• 1945年以降の戦後の経済混乱
• 1950年~90年の長期経済成長

このステップ見ると雇用の安定化には、経済の浮き沈みが大きく関係しているように見えます。確かに中国でも2008年のリーマンショック以降にホワイトカラー層で定着率が改善しました。日本では、2の世界大恐慌、4の戦後の経済混乱があります。その後の経済的安定期に以前よりも雇用の安定や定着率の改善が起きています。
因みに、2の世界恐慌からの成功事例は、松下電器の事例です。1929年に発生した世界大恐慌の影響で、日本でも多くの企業や工場が倒産、あるいは操業停止に追い込まれますが、松下幸之助は「生産は即日半減するが従業員は一人も減らさない」と言って雇用を維持したそうです。結果としてその後、社員と世間から信頼を得た松下電器は急成長しました。

中国は、まだまだ売り手市場で、特に90后,00后と両親が現役でお金が家にあり、そこまで頑張って仕事をしなくても良い「今」があります。大きな流れで見ると、企業単体で問題を解消することは難しく思えます。しかしながら、教育関係者や労務会社の人の中にも、それを問題視し出来ることを模索している方々もいます。

出来ることは身近なことですし、気長に取り組まないといけませんが、それでも頑張っていかないといかんですね(^ ^ ///
これも社会貢献でしょうか?