はじめに
日本在勤時代は、純水設備関連の仕事がメインでした。純水の中でも、非常に純度が高い水を超純水と呼びます。主には半導体製造工場や医薬製造会社が納入先ですが、一風変わった納入先としてスーパーカミオカンデもそのひとつでした。
スーパーカミオカンデについて
スーパーカミオカンデ、皆さんご存知ですか? 正式名称は、東京大学宇宙線研究所神岡素粒子研究施設。岐阜県飛騨市(旧神岡町)の山中に設営された研究施設です。
この施設が一躍有名になったのは、宇宙から飛んできたニュートリノを世界で初めて検出したことで、2002年に小柴先生がノーベル物理学賞を受賞した時です。最近では2015年に梶田先生も、スーパーカミオカンデでの研究で、ニュートリノが質量を持つことを発見してノーベル賞を受賞しています。
巨大かつ繊細な施設
地上からの高さが約1,000mの山中をくり抜いて、スーパーカミオカンデは作られています。直径40m深さ40mの巨大な水槽で、水槽の内面周囲には11,000個の光電増倍管が張り巡らされ、水槽に貯えられた超純水にニュートリノが偶然衝突した時の極めて僅かな発光を検出する施設なのです。宇宙から飛来するニュートリノは、地球をもすり抜けてしまう微粒子だそうですが、厚さ1,000mに及ぶ岩石がフィルターとなり、検出精度が上がるそうです。
ノーベル賞のお手伝い
この超純水の循環処理設備のあるユニットを当社が納入していたことで、そのメンテナンス工事を実施した際、通常はおいそれと出入りできない研究施設に立ち入る機会に恵まれたというものです。2011年6月、東日本震災からまだ3か月しか経過していない頃でした。
スーパーカミオカンデの心臓部は前述した水槽で、勿論それは密閉されて光が入り込まない構造なので、正しくはスーパーカミオカンデが設置された施設に行った、ということですが、当社の製品が、ノーベル賞受賞に微力ながら関わることができたことは、私のサラリーマン人生にとって、誇りでもあります。
当社の業務が、何らかの形でお客様のお役に立てれること、言い換えれば、お客様のお役立ちを求めるのが当社の目標でもあります。
(記事提供:千代田工販(無錫)環保科技有限公司)