ドイツ式が注目されるワケ

先月私が受講したスマート製造に関するセミナーでは、講師の方が、製造の革新には3種類のパターンがあると説明されていました。

1.アメリカ式 2.ドイツ式 3.日本式

それぞれの方式を簡単に説明すると以下の通りです。
アメリカ式
オーダーメイド生産(デルPCなど)や、工場を持たないファブレス生産のように製造の在り方を根本的に考え直す方法
ドイツ式
大型機械、連続自動建屋や、国策のIoTによって規模と生産性を拡大
日本式
オーダーの小分けや在庫管理の効率化など、人や組織の協力と成長による生産性の進歩

ドイツ式の設備と機械投資に注目する中国の工場

中国での製造業で次に革新するのであれば、設備を情報化するIoTの方法で根本から変えてしまおうという考えが主流です。そのため上記の中でも特にドイツ方式が注目されています。

中国人の総経理は、工場内の設備を良くしたい、機械にマイコンとディスプレイをつなげて情報を自動的に吸い上げたいなど、ハード面での投資に力を入れようとします。そしてそれに応えるビジネス側からも、以前お話したように、汎用的で大きく広がるIoTビジネスが起こりつつあります。

一方で人や組織のルール作りなどに投資するという考えはあまり見られません。流動率が高くてあまり人や教育に依存できないという理由もあるでしょう。

人に注目する「見える化」は注目されず

ですが、人による組付けが中心の工場などに関しては、個人個人の技能と生産効率の向上が全体の効率と品質に影響します。

そのような人労働中心の工場の効率改善策として「見える化」が日本ではずっと前から業務改善のキーワードであり、動線分析や労働時間の数値化など、それを支援する方法論やITシステムもできているのですが、ここ中国では今一つ盛り上がっているようには思えません。

中小工場は置き去りに

ビジネス側からも国策の側からも、大型設備投資に見合わない中小企業の工場には、スマート製造の提案の方法がない状況です。そのため中小工場はスマート製造からはどんどん置き去りにされてしまうのではないかと心配しています。

そのような現場では労働力もなくなり日本に戻るか国外へ出るか、そしてその状況が中国の製造競争力に最適化なのかどうかは行方を見守るしかありません。