7月の投稿で、規格について書きはじめましたが、その次の回で「個人情
報」に関して緊急投稿したので、今回は改めて規格について書きたいと思います。
中国で仕事をしている方々の多くはメーカーに属していらっしゃいますので、当然ながら製品品質の維持改善にご腐心されていることと思います。品質管理に関する具体的手順は、各社独自で決めておられると思いますが、それらの手順を国際的に統一しようというのがISOの規格です。製造に関するISO9001規格は、数あるISO規格の中で最も有名です。
ISO9001は別名QMS(品質マネジメントシステム)とも呼ばれておりますが、いわゆる品質管理だけを捉えるのではなく、事業全体について詳細な規格が要求されます。一端として、弊社が実践しているQMSの概要を書きたいと思います。
ISO9001認証を得るためにまず行わなければならないのは、会社としての品質管理マニュアルを作成構築することです。これが最も大変で、曖昧な言葉で書かれたISO規格書に基づいて、漏れのないマニュアルを作成しなければなりません。
具体的実践においては、まず事業部目標を定めます。弊社の場合は「顧客要求を満足させ、利益の拡大を図る」というものです。顧客満足は、品質の優れた製品という狭義の観点だけではなく、価格、納期、性能、アフターサービス対応まで含まれます。
この大前提目標を受けて、各プロセスの目標を設定します。具体的には、営業、設計、購買、生産管理、在庫管理、サービス、研究開発、品管の各プロセスです(弊社は自社内で製造していなかったので製造プロセスはありません)。
小生が直接関わった点で言うと、トレーサビリティ管理の構築は苦労しました。製品に搭載する部材のうち、品質に大きな影響を及ぼす部品はロット番号管理を行い、もしも市場において問題が発生した際には、それがロット不良なのか個別不良なのかを判断できるようにしました。もう一つは、外注先での測定器具の管理です。各測定器具は定期的な校正を必要としますが、外注先はいわゆる町工場。なかなかそこまで意識を持ってもらえず、苦労したことを憶えています。
次に実践した結果を評価しなければなりません。目標に達しなかった場合は、その原因を分析し、そして改善に結びつける。計画(P)、実践(D)、評価(C)、改善(A)を際限なく回し続ける、これがQMSの基本です。
QMSを行うと、記録の重要性が問われます。ISO9001と並行してISO14001(環境マネジメントシステム)も行っていましたが、QMSでは印刷物が増加してしまい、ISO14001で目標管理している紙の削減に影響が出るという矛盾が生じてしまいました。
QMSの認証を得ることで名刺にも認証マークを印刷でき、営業展開はしやすくなったのは事実ですが、多くの企業が認証を得ているので、認証未取得会社との差別化はあまり意味がなくなってしまっているのも一方の事実です。
最近のISO規格の中には、組織のコンプライアンスに関するISO26000もあるようです。